こんにちは。春名佑紀です。
学級経営講座⑬
学級経営講座⑭
では、学級活動シリーズをお送りしています。
今日は、学級会についてもう少し堀下げていきます。
先に結論からいうと、
学級会を行うと児童が成長を間近で感じることができますし、
学級のまとまりがよくなりますし、
学級崩壊を防ぐ手立てにもなりますし、
なにより、子どもたちに大切なスキルと身に付けさせることができます。
しかし、なんでもそうですが、
ただ、学級会をやればいいというものでもありません。
そこには、仕掛けるポイントがあります。
ところで、学級会というとどういうものをイメージしますか?
一番多いのは、お楽しみ会に何をやるかを決める場面でしょうか?
まずは、司会が何をやりたいかを聞き、
ある程度意見が出てきたら、多数決を取る・・・みたいな。
前回、学級活動(1)では、児童を主体として行う時間だという
話をしました。
一応、児童が主体で学級活動の時間に何をするか、
決めていますね。
でも、残念ながらこの学級会を何度繰り返しても、
子どもたちに「話し合いのスキル」は身に付きません。
子どもたちの成長にもつながりません。
「話し合い活動」において、一番難しい場面はどこだと思いますか?
それは、決定の場面です。
つまり、先ほどの例でいうと「多数決」の場面です。
ちなみに、この意思決定場面において、
どのような手法があるでしょうか?
(質問が多いですね…。)
大きく分けると3つ
「多数決」
「トップダウン(独裁)」
「全会一致(合議)」
説明は省きますが、
並べてわかるように、どの決め方には一長一短があります。
一般的によく使われる「多数決」ですが、
とても合理的な方法です。
そして、時間の短縮になります。
しかし、「多数決」は数の論理です。
いつも多数決をして、多い方がというのは、
不満が残る結果になります。
お楽しみ会の内容くらいならまだ、それでもいいのですが、
もう少し複雑なものを決める話し合い活動では、
この方法はあまり適切とは言えません。
そもそも、話し合い活動と呼べる場面がありません。
同然ですが、「トップダウン」は学級会ではナンセンスです。
最後は先生の鶴の一声など、学級会の時間がもったいないです。
となると、目指したいのが「全会一致」
正直、この「全会一致(合議)」に持ち込むのは
かなり難しいです。
私は学級会をするときは、「多数決」をさせず、
「話し合い」で決定しなさい。
と促します。
ここで大事なことは、
口を出さないこと
多くの教員が苦手なやつです(笑)
つまり。子どもたちは先生が口も出さず「話し合い」を見守っている状態で、
「多数決」を使わずに、議題を決める方法を考えるわけです。
この瞬間、最も児童の成長がみられる場面です。
児童は必死に考えます。
なぜなら、ここで決まらなければ、
学級活動が行えなくなるのですから。
ここが先生の我慢のしどころ。
そうすると、子どもたちは、
折り合い
を学ぶのです。
いろいろなパターンがありました。
話し合いの中で、少数意見を主張している子が譲る。
二つに分かれている意見をドッキングさせる。
今回譲ってくれた子たちの意見を次回反映させる。
新しい第3の案を出してまとめる。
あえて、少数意見を採用し、みんなで協力を促す。
こんなものでしょうか。
私には考えもつかないような解決案を出すことが児童にはできます。
ちなみに、これは低学年でもできます。
もちろん、初めての学級会でいきなりできるようになりませんが、
何回か学級会を通していくことで、
「話し合い活動」で「折り合い」をつける方法を
学んでいくのです。
多数決はとても合理的です。
でも、いつも少数派に回る子がいないとも限りません。
とはいえ、多数決に近い方法をとり、意見のバランスを確認する
作業は取り入れたりしますが、
最終的に、「数で決まった」ではなく、「話し合いを続けた」という
経験をさせると、児童の納得感が変わります。
ここまでもっていくまでは、いろいろな仕掛けが必要です。
学級会を行うまでに、何の準備もなし始めれば、
何時間あっても決まりません。
また、45分の話し合いの中で、
意見を出す時間を一緒に設けていたら、
これまた話し合いに使える時間は減ります。
そこで、学級会を行うまでには、多くの準備段階が必要です。
最低1週間は欲しいところです。
この学級会から実践までの流れはまた次回お伝えしますが、
学級活動で、メインの1つとなる「学級会」は
児童の様々な面を成長させる時間となります。
現代は、恵まれていてあまり自分たちで工夫してとか知恵を絞って何かをする
という場面が乏しいです。
でも、人の脳は、使って使って発達します。
特に、「どうしたらできるか?」「どうすればいいか?」
という、目の前の課題をクリアするために使う時、
とても活発に動かすことができます。
そこで、「学級会」を通して、
児童は学習とは違った頭の使い方をするのです。
1人で考えるわけではないこの「学級会」では、
児童同士の相乗効果によって、予測もしなかったことが起こるのです。
児童の無限の発想に何度も度肝を抜かれました。
正直感動します。
ひとつエピソードを載せます。
私がこの特別活動の意義に惹かれて、
研究授業を行う年のクラス。
私も初心者でなかなか学級会をうまく進めることができず悩みながらでした。
行事の後のお疲れ様会に何をするかという議題。
前回はお楽しみ会的なものだったので、
ちょっと変わったものがいいという意見になったのですが、
ある児童が
「ロボット大会をしたい」
といいました。
ロボットを作って遊びたいと。
女子からは反発。
男子もスポーツ系が多かったので、その意見はもはや風前の灯でした。
自分の意見がつぶれそうになる中、しくしくと泣き始めました。
実は、前回の時も「ロボットを作りたい」という意見を出していて、
これが2回目だったのです。
するとある子がこういいました。
「それぞれのパーツを班ごとに作って、ロボット合体式をしたら
面白くなるかもしれない」
と。
最初は、個々人が好きなロボットを作って遊ぶというものだったのが、
クラスで大きなロボットを1つ作ろうという発想に変わった途端、
風向きが変わりました。
その後、全会一致でロボット作りになり、
2週間かけてクラスのロボットが完成しました。
最初に意見を出した児童は、うまく他の子と関われないところがあり、
クラスでも少し浮いた存在でした。
でも、その子の意見も大事にしようとした子どもたちのおかげで、
その児童を、置いていくことなく、
クラスのまとまりはそれを機にとてもよくなりました。
ちなみに、これ小学校1年生の時の話です。
学級会、やりたくなってきませんか?
あ、でも準備とか根回しとか結構大変です。
次回は、準備→学級会→実践の1クールについて
話していきます。
あなたの学級経営を応援しています。
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