学級経営講座㉖ 「家族の役割論」から学級集団を考える

学級経営講座

こんにちは、春名佑紀です。

 

前回は、学級で起こる問題解決は集団でアプローチをしましょうというお話でした。

で、今回は、その「集団」についてもう少し詳しくお話をしておきたいと思います。

具体的に集団にアプローチするためには、その「集団」を知っておく必要があります。さらこれを理解していないと、ただ、子どもに丸投げしたり、集団を構成する個々人を蔑ろにすると解釈しかねないので、今回はこの「集団」をもう少し掘り下げていきます。

 

「家族の5つの役割論」

あまり聞きなれない言葉だと思いますので少し説明をさせてください。

 

簡単に言うと、数人が集まると、グループそれぞれが役割を演じるという話です。

最初は、家族内での考察だったので、そう言う名前になっていますが、これは、人が集まれば、必ず起こります。

役割は5つ

①    ヒーロー・ヒロイン(リーダー)

②    ヒール(悪役)

③    傍観者

④    犠牲者

⑤    チャーマー(ピエロ)

 

それぞれを簡単に説明すると、

①    ヒーロー・ヒロイン

グループのリーダーとなり、優等生を演じお手本となる存在。

②    ヒール

グループの中で問題を抱えることで、グループ内を助けようとする存在。

③    傍観者

グループから距離を置き、一歩離れたところから問題を解決しようとする存在。

④    犠牲者

グループの問題を一身に受けて、他者を優先させることで問題を解決しようとする存在。

⑤    チャーマー(ピエロ)

グループにおいてかわいがられたり、おどけて見せたりすることでグループを救う存在。

 

だいぶ端折ったので、わかりにくいかもしれませんが、イメージが伝わればいいかなと。

これら5つの役割に共通しているのは、

全てが

「グループ内の問題に対して、それを解決するために存在している」

ということです。

 

これを学級内に当てはめると、見事にクラスの子どもたちの顔が浮かびませんか?

つまり、これは集団を構成する際に起こる位置取りの問題なのです。

 

例えば学年の中で、リーダー格ばかり集めたクラスを作ったとしても、みんなが「リーダー」にはならないということです。

逆に、問題児ばかりを集めたクラスを作ったとしても、みんなが問題児になるというわけでもないということ。

 

これは、子供も大人もですが、ある程度人数がいる場面において、自分のポジションを決めます。

だから、グループやメンバーが変わると、役割は変わります。

 

例えば、先の例でいけば、リーダー格が多くても、

そこにさらに強い人がリーダーとなり、それ以外は、違う役割を担います。

あんなにいい子だったのに、みたいな子が、クラスが変わって問題児なるというケースもありますよね。

つまり、子供は子供なりに、

クラス内での、自分の役割を演じているわけです。

 

ここで大事なのは、

「役割の流動化」「役割の強弱」です。

 

役割の流動化 ~役割を固定化させない

家族、家庭環境、元々の性格等で取りやすいポジションというのがあると思います。

 

例えば、

長女・長男(長女の方が高い感じがしますが)は、リーダーの役割を担いやすいでしょう。

中間子は「傍観者」というポジションにいる傾向があります。

(これはあくまでも一例です。)

それぞれ傾向はあるものの、役割は流動的です。また、複数の役割を演じることもあります。

 

しかし、学級内において、この役割が固定すると、児童の問題行動がエスカレートすることがあります。

例えば、問題行動を起こすA君。彼は完全に「ヒール」という役割を担っています。

でも、毎日彼が「ヒール」を演じなければならないとなると、

何か起こさないとその集団にいられないという恐怖心をもつのです。

だからそれが怖くて、毎日何かしら問題を起こすのです。

「ヒール」だから大変なのかというとそうでもありません。

「ヒーロー・ヒロイン」の役割などは、最初こそ先生に褒められたり、学級で人気者になったりして優越感を味わえるかもしれませんが、いつもそのポジションをキープするには大変な努力が必要です。それに耐えきれなくなり、ある日突然、無気力になることもあります。

このように、集団の中での役割の固定は、構成している児童の負担を増大させます。

それが原因でクラスの状態が悪化することがあるので、なるべく固定化させないようにしなければなりません。

一番手っ取り早く役割の流動化させるのは、文字通り「クラスでの役割を輪番制にする」ということです。

班長や当番活動などを日や週単位で交代させることで、物理的な役割を変えることで「心理的な役割」を流動化させることができます。

このような経験は、子ども自身がもっている固定化した自分の概念を壊すことにもつながるので、ぜひ取り入れてみてください。

 

役割の強弱 ~問題が根深いほど役割が強くなる

先程、役割を流動させることをお話しましたが、役割が固定化すると一つ一つの役割の重要性が増していきます。これを役割の強化といいます。役割が強化していくと、なかなか流動化できにくくなり、さらに固定化が進むという悪循環になります。

一つ一つの役割をなるべく軽く、動きやすいものにすることが大事なのです。

 

もう一つ、役割を強化してしまう要因があります。

そもそも、「家族の5つの役割論」は、問題解決のために生まれた役割について説明したものです。

つまり、その集団における問題が深ければ深いほど、役割への依存は大きくなります。これも役割を強化してしまう要因になります。

例えば、「ヒール」のA君がずーっと問題行動を続けているということは、その集団に大きな問題があるということを表しています。

集団において今何が起こっているのかをいち早く捉えて、解決へ導いていくことで、役割の依存度を減らしていくことが可能になります。

 

ある荒れた学級の支援に入ったことがありました。
そのクラスには問題行動を起こす児童が5人はいました。最近の傾向なのか、この5人はつるんだりはしません。それぞれがそれぞれをあまりよく思っていないようでした。そして、みんなが一斉に何かするわけでもありませんでした。

だいたい2人ずつくらいが別々に何かしら起こすのですが、そのうちのある一人が私にこういいながら泣いていました。

「もう学校へ行きたくない。このクラスは嫌だ、〇年〇組は大嫌いだ~。」

このクラスでは、ほぼ7割くらいが傍観者です。何かあっても騒ぎ立てない方がこの「ヒール」たちを刺激しないと思っているようでした。しかし、勝手なことをする児童に対して、不満がないわけではありません。

この一人が言った「クラスが嫌い」は、他のクラスの子たちの心の声のようにも聞こえました。

空気なんで言うとちょっとつかみどころがなく、逃げているようにも聞こえますが、こういう問題を抱えているクラスの雰囲気が、さらに役割を強化し、問題をさらに悪化させていきます。

 

こうなるとどこから手を付けていこうか難しいですが、やはりそうなる前に、子どものサインに気が付き、手を打っていく必要があるかなと思います。

 

いかがでしたか。

少し変わったアプローチから学級集団を検証してみました。

 

最後に、この役割論において、教師が絶対やってはいけないことがあります。

 

「児童の役割を決めつけること」

 

その方が楽なんですよ。

「この子はこういう子。」って決めた方が。

これは、意図的にやっていなくても、なんとなくあるはずです。

人の性ですからね。

だからこそ、教師は常に子供をフラットな目で見る努力が必要だと思います。

 

ちなみに、この話は、家族はもちろん、職場や友達同士のグループでも適応できます。

これを機会に、自分の役割を振り返ってみると面白いかもしれません。

 

あなたの教員生活を応援しています。

コメント

  1. […] 前回は、集団での役割についてお話をしました。 今回は、その集団にどうアプローチをしていくかというお話です。 […]