小学校教員免許資格認定試験、2次試験全員合格がもたらす影響

教育全般

こんにちは。春名佑紀です。

台風19号の影響で各地で様々な被害がもたらされました。
被害に遭われた皆様、現在も避難生活等を余儀なくされている皆様に
1日も早く安心な生活がやってきますことを心よりお祈り申し上げます。
(祈ることしかできずすみません。)

 

 

さて、今日はこの台風19号によって現在教育業界で物議を醸している
「小学校教員免許資格認定試験」について事を記事にしたいと思います。

まず、中身に入る前に私のスタンスを明らかにしておくと、

・私は認定試験で教員免許を取っています。
・1年目は、2次試験で落ちて、2年目で合格しました。

という経歴です。

そして今回の記事の論点は、

・2次試験全員合格で「教員の質」は下がるのか?
・今回の件で、一番の被害者は誰か?

という2点について考えてみます。

最初、この記事を見たときの私の第一声は、

 

 

「ずるいーーーー!!!!」

でした。

ただ、単純に、私は2次試験で落ちた経験があったので、
もしそのタイミングだったら、ちょっとラッキーと思ったと思います。

でも、その後いろいろ考えてみて、本当に「ラッキー」なのかわからなくなってきました。

さらに、Twitterを見てみると、

「これで教師の質がまた低下する」
とか
「教員が足りないから、増やしたんだ!」

などのコメントが散見されました。
このあたりにも「???」と疑問がありました。

 

まず、今回の2次試験全員合格で「教員の質が低下するか?」ということについて考えてみます。

ここでいう「教員の質」とは一体何を表しているのでしょうか?

一言に「教員の質」といっても、人によって表すものは違います。
たとえば、
「教員の意識」
なのか
「教員の学力」
なのかによっても大きく変わります。

では、ここで認定試験の2次試験について説明します。

2次試験は、論述、実技、口述の3つの試験が行われます。

少し専門的な試験の内容になりますが、
論述は、9教科の中から1つを選択肢、設問に合わせて論述をします。
私は、試験対策がしやすいという理由で、「生活科」を選びました。

設問は、学習指導要領解説に関することから生活科の意義、さらに指導上に関することの中から2問出題されます。その内容について、500~600文字くらい(ちょっとうる覚え・・・)の文量で書きます。

次が実技。

恐らくここが難関です。
体育・図工(美術)・音楽の中から2つを選択します。

体育は、鉄棒やボール競技、陸上などの種目を行います。試験内容はその年によって違うそうですが、鉄棒が多かったと聞いたことがあります。

図工は、絵を描きます。ただのデッサンの時もあれば、色を塗るときもあります。鏡が配られ自画像というときもあったそうです。

音楽は弾きながら歌います。課題曲は1次試験発表後に出されて、楽譜は自分で用意します。どの楽譜でもいいのですが(難易度を選べる)、両手で弾くことが必須です。

そして、口述。いわゆる面接です。

それぞれで6割の点数を出さないと合格にはなりません。

ちなみに、私は1回目の受験の時に、音楽と図工を選択し、図工がまんまと45点でした。

さて、この試験内容をクリアできる人は、「どんな人」だと思いますか?

 

先程の「教員の質」という話と照らし合わせると、
「学力」というならば、確かに論述試験があるので学力を測れるように感じますが、試験勉強をしてきた立場から考えると、これは「学力」というよりは「試験対策」をどれだけしたかが問われるような気がして、その人の「学力」と直結しているのかどうかわかりません。
よほど、トンチンカンなことを書いたか、全く問題の意図を把握できていないか、はたまた文章が恐ろしく下手かでない限り、対策を取れば6割を超えるのは難しいことではないと思います。

「学力」というのであれば、よほど、1次試験の方が単純に暗記して答えるという内容なので、ある程度のことを覚えて答える力は測れるのではないかと思います。

ちなみに、合格率14%程度と言われている認定試験ですが、2次試験では3倍前後くらいが体感です。つまり、半分は1次試験で落ちているということがわかります。

 

 

では、「教員の意識」をこの試験で測ることは可能なのでしょうか?

先程、口述試験があると言いましたが、
こちらは本当に「参考程度」だと思います。
1人の持ち時間は5分もありません。
私も、何を聞かれたのかあまり覚えていません。
2個くらい質問をされたかもしれません。

採用試験での面接の方が、ゴリゴリ聞かれてたので、正直認定試験の口述試験では、「人柄」を見ることはほぼ無理だと思います。
よっぽど、粗悪な態度とか受け答えができないとか、でなければこれで落ちる人はいないでしょう。

では、「教員の意識」を実技で測ることができるのでしょうか?

かなりむりやりつなげるのであれば、
実技の練習を重ねることによって、教員としての意識を高めてきたと捉えられなくもないかもしれません。
でも、もともと運動神経がいいとか、絵が上手かったとか、ピアノを習っていたとかがあれば、
ここで意識の高さを測るのは難しいと思います。

ちなみに、体育や図工や音楽などの実力と指導は全く違うので、もちろんできるに越したことはないと思いますが、それができないので教師としての意識が低いと一概言えるかどうかも今は疑問です。

 

少々長々と説明になってしまいましたが、
教師の質の担保は、認定試験が担っているのかどうか?ということについて疑問が残るのです。

これを言うと、批判を受けるかもしれませんが、
大学や短大で教員免許を取った人たちは、「教員の質」が高いを言えるのでしょうか?

さらに「教員の質」って漠然としたものに明確な基準があるのでしょうか?

そう考えると、今回の小学校資格認定試験での2次試験の免除が、即「教員の質低下」と結びつけるのは早計のような気がするのです。

では、今回のことは一体何をもたらすのか?

私は2つあると思います。

1つは、「小学校教員免許資格認定試験」の権威の低下

もう1つは、今回合格になった人たちのこれからの評価の低下

です。

「小学校教員免許資格認定試験」は、先程も合格率14%程度と言われる難しい試験です。
通常であれば、2年ないしは4年、(通信だと最短で1~2年)という時間をかけて免許を取るものではない分、難易度は上がるのは当然でしょう。

でも、おそらく今回は40%程度(30%とかあるかな?)難易度は下がったと言えます。

そうすると、せっかく難易度が高いということが売りだったこの試験の権威が落ちます。

そして今回のように、災害と重なれば、試験を取りやめるという事例を作ってしまったので、今後万一同じようなことが起こったら同じ措置を取らざるを得ないということになります。

これは、試験を運営する側からすると大きな損失だと思うのです。

2つ目に、今回の試験の合格者は、これから各都道府県で採用試験を受ける際に、
「2次試験で免除された年の合格者」というレッテルと貼られることになります。

この中には、2次試験で合格できる実力があった人と、合格できなかったであろう人が混在しています。

でも、試験を行わなかったがために、公正な判断がされないまま教員になるということです。
ちなみに、この後行われる3次試験は、欠席したり、当日問題を起こしたりしなければほぼ通過します。

最初、私は「ずるい」と思いましたが、よくよく考えてみると、合格者全員が

「おまけ合格」という目で見られてしまう可能性があるのかなと思うのです。

 

私は、一度2次試験を落ちた後、絵が描ければいいのかと、絵画教室に通いました。
この時のエピソードも結構笑えるので今度記事にしたいと思いますが、
結構ガチで頑張りました。

その経験は無駄にはなっていないので、1回落ちたことも私とっては必要なことだったんだと思っています。
だからこそ、今回合格となった方は、世間がどのように見ているかということはある程度覚悟した方がいいと思います。

なので、今回の合格者に愛をこめて一言

 

現場で頑張れ!

結局は現場で子どもたちや保護者と向き合ってからのガチンコ勝負です。

応援しています。

 

今日は少し熱く語ってしまいました・・・。

 

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