こんにちは!春名佑紀です。
大変お久しぶりです。
約1年間いろいろな経験をさせていただき、パワーアップ(?)して帰ってきました!
(本当か!?)
というわけで、久しぶり第1弾は、大阪市で物議を醸した「オンライン授業の是非」について語っていきます。
今回異例の「校長提言」がありました。
かなり強い口調で、大阪市の「オンライン授業」の導入について意見が出されましたが、その内容には、現場サイドの人間としては当然そう思うだろうという内容でした。
しかし一方で、「オンライン授業」後進国、ニッポンの抱える課題は大きいことを感じざるを得ません。
そこで今回は、春名が考える
「なぜ、『オンライン授業』が進まないか」
の理由と
『オンライン授業』普及のカギ
について考えていきます。
なぜ、『オンライン授業』が進まないのか
まずは、「オンライン」か「オフライン(対面)」かを考える前に、授業をどのように構成するかについて考えると、3つの視点が出てきます。
これは、教員が授業を作る際に考える視点と同じです。
①教材研究
②児童・生徒理解
③教員の指導力
の3点です。
これは、授業をしていくには、必ず考えることです。
つまりこの3点のどれが欠けても、授業は成立しないのです。本来は。
そして、「オンライン授業」と「オフライン(対面)授業」を考えると、この3つの視点の準備が大きく違うということです。
まず、一番大きいのが①教材研究です。
教材研究は、授業で実施する内容をどのように行うか、どうすれば子どもたちに効果的に理解できるかを考えることです。まず、ここで「オンライン」か「対面」かによって、その方向性は全く変わります。
どのくらい違うかというと、北海道に行くのに、電車を使うか、飛行機を使うかくらい違います。
(えっ!わかりにくい?)
つまり、チケットの買い方も、乗り物の乗り方も、かかる時間も、見える景色も、さらに「どっちが好きか」も違うわけです。
(結局、わかりにくい?)
まあ、全然違うと思ってください。(イメージです。)
ここには、当然②児童・生徒理解とも関連してきます。
目の前にいる子どもたちのいかに学びを増やすかを考えれば、同じ対面授業だってやり方にはいろいろあります。さらに「オンライン授業」となれば、その手法が「対面授業」と同じわけありません。
オンラインだからできることもあれば、対面だからできることもあります。
普段対面授業に慣れている先生たちは、急に「オンライン授業」と言われても、すんなり移行できるわけはありません。
確かにオンラインやデジタル機器には、無限の可能性がありますが、それをまだ使いこなせるところにいっていないのに、急に授業をせい!と言われても、戸惑うのは当然です。
ちなみに、このような話をすると、
「じゃあ、なぜ、塾の先生はオンライン授業を成立させられているの?」
という疑問が寄せられそうですが、
一つには
授業が完全マニュアル化されていること
もう一つは、
動画の撮影に慣れていること
が挙げられます。
塾や予備校の講師は、「教えることが決まっていて」「再現性を求められる」ので「オンライン」か「対面」かによってあまり変わらない授業を展開しています。
そこが学校と大きく変わるところです。
特に、この傾向は、子どもの年齢が低ければ低いほどその傾向にあります。
次に、②児童・生徒理解です。
最後に述べたことと関連しますが、子どもの発達段階に応じて、オンライン授業ができるかどうかが変わってきます。
入学したての1年生は、対面授業ですら、
15分集中できないし、
椅子に座ってられないし、
先生との1対1のコミュニケーションを求めてくるし、
で、全く「オンライン授業」では、なかなか成立しません。
6年生になれば、ある程度ルールを守って、デジタルを介しての双方向コミュニケーションを可能になるでしょう。
このように、「小学校」といっても、同じように進めるには、かなりの無理があります。
また、子どもサイドから見た、オンライン授業の大きなハードルは
受け身になりやすい
ということです。
デジタルネイティブの彼らは、Youtubeや動画など、「一方通行のツール」に慣れています。デジタルから流れるものは、「観るもの」なのです。
特に、小さい子であればあるほど、騒いでいた子がテレビを見ておとなしくなるのと同じように、画面から流れるものは、自分の興味を引くエンタメという概念が強くあります。
つまり、その画面に先生が映り、授業を展開するのであれば、せめて動画やYouTubeくらい楽しいものでないと画面の前に座ってくれません。
しかも、直で先生とやり取りができないのですから、飽きてしまうのは目に見えています。
○○○ for schoolを見る方がよほど勉強になるかもしれません。
もちろん、授業だって、発達段階や自分の学級の児童に合わせて教材研究をし、組み立てていくわけですからやることは同じなのですが、デジタルを介することでより、その手法が大きく変わるため、一朝一夕で授業を作っていけるものではないのです。
さらに、この受け身化を加速させる要因があります。
それは、
参加人数です。
例えば、オンライン双方向授業を実施する際に、通常学級の40人(35人でも)は多すぎます。
ここまでくると、完全に見ている子どもは「お客さん状態」です。
大学などでオンライン授業が成立しているのは、受ける人間がある程度成熟していることもあるともいますが、授業の形態によって使い分けをしているからです。
例えば、100人ほどの人が受けている講義であれば、対面だろうがオンラインだろうがそれほど大きく差は出ません。
なぜなら、どちらにしても「一方通行授業」だからです。内容が理解できればお客さんでもいいのです。
一方、ゼミなどの授業であれば、人数が何十人もいないと思います。せいぜい、20人くらいでしょうか?(私のイメージはもっと少ないのですが…。)
お互いの意見を交わしながら行う、本当の意味での双方向を実現するのであれば、10人~15人が限度ではないでしょうか?
そうなると、10人~15人程度の学級って、日本にどのくらい存在するのでしょうか?
教室にいると、かなり少ないと感じるでしょう。
ちなみに、私は30人を下回った学級をもったことがないので、半分以下というのは、昨年の分散登校以来の人数です。
つまり、学級の児童を全て一回のオンライン授業で参加させるには、人数が多すぎるわけです。
これでは、一方通行授業と変わらず、動画でもよいというう結論になります。
「学級」という仕組みそのままに、オンライン授業を成立させるには、受け手もやり手もそれ相応の訓練が必要になるというわけです。
そして③教員の指導力です。
これだけ、「オンライン」と「対面」でやり方が異なるのですから、
「今日からオンラインで」
と言われても、すぐに対応できるものでありません。
教員とは面白いもので、普段子どもたちがいる教室での授業に慣れているので、子どもがいない教室で授業をするとか、カメラに向かって話すとなると急にぎこちなくなることがあります。
これらは慣れなのですが、このあたりの研修や練習などないままにいきなり授業というのはかなりハードルが高いかと思います。
先程の塾の例でも挙げましたが、教員は案外、「同じ授業」をもう一度してといってもできない人がいます。同じ単元でも、子どもが違えば年が違えば、同じ授業などできないというのが理屈です。
これも一理ありますが、オンラインでそこまでの授業を展開するには、もう少し実践が必要になるでしょう。
では、オンライン授業に対応できる技術をこれから研修で身に付けましょう!
といって、現在の重労働にさらにこの技術向上を目指すのは、ちょっと酷かなと思います。
全てがオンライン授業に替わるならともかく、対面とオンラインと両立させながら教材研究をしていけというなら、
「他の仕事減らしてよ!!」
となりますよね?
「緊急事態宣言が出たからオンライン授業」という臨時的な形では、おそらく一向に技術向上は難しいと思います。
春名が考える「オンライン授業」普及のカギとは?
では、このままオンライン授業はできないニッポンでいいのか?
この状況から考えるに、一度「オンライン授業」に踏み切った以上、全くなくなりはしないと思います。
そこで、いかにニッポンにおいて「オンライン授業」を普及させるか、考えていきたいと思います。
※実現可能か不可能かはあまり考えていません。
①オンライン授業のコンテンツ開発を進める
今、YouTubeでは、多くの動画が配信されていて、動画という強みを生かし、日々私たちの興味をくすぐっています。
その中にはライブ配信もあり、テレビでいう“生放送”みたいなものもあります。
それぞれの良さを生かして、いかに人の興味をそそるかということはマーケッターたちが日々試行錯誤しながら新しい手法を生み出しているわけです。
もちろん授業はエンタメではありません。しかし、そこから学べることは多いと思います。
対面授業にある「ライブ感」をデジタルを使って表現していくには、それなりのプロが考えていくのは当然だと思うのです。
今の授業だって、べつに教員が一から考えたいつも新しい手法ではなくて、長年培った研究成果などが活かされた結果です。
オンラインでしかも双方向授業を小学校で進めるのであれば、それなりの研究が必要になります。それは、現役で普段授業を行っている教員に作っていきなさいというのはあまりにも酷です。
とはいっても、ある程度授業経験者の方が、学校にあったオンライン授業を作っていくには欠かせないと思うので、思い切って、現役の教員からオンライン授業開発チームを作ってしまってはどうかと思います。教科ごとに特性があるので、できれば教科ごとにチームが欲しいところです。
そこには、
①教科の特性
②デジタル機器(zoom?Google meet?Skype?)の特性
③児童生徒(発達段階)の特性
などの専門知識が求められます。
それらを使い、電子黒板に使われるデジタルコンテンツを駆使しながら内容を作り上げていくことをしないと、いつまでたっても、
とりあえずやってみたオンライン授業!
で終わってしまいます。
②オンライン専科教員の育成
いくら、コンテンツやノウハウを作っても、デジタルが苦手だーー!という教員やライブ感が好きという方は一定数いらっしゃいます。
そこで、思い切って、オンライン授業専科教員を配置してはどうでしょうか?
①で選抜された「オンライン授業特命チーム」の方々が、スキルを広めていき、各学校にオンライン専科の方を配置するというものです。
(①との同時並行がおすすめです。
これを実現させるには、(小学校においては)一つクリアしないといけない課題があります。
それは
学級の解体
です。
先程双方向のオンライン授業を成立させるためには、10人~15人と話しましたが、学級という単位は現状40人(徐々に35人)。どちらにしても多すぎます。
学級担任が自分の学級に対して、人数を制限し授業を行うには、仮に半分にしたとしても、2回行うことになります。1日最低でも5時間あると考えると、授業だけで10時間!無理ですよね。
つまりオンライン授業成立を目指すのであれば、そもそも「学級」という概念を壊す必要があります。
これはすでに、少人数や習熟度別学習などで試されていますが、小学校はまだ「学級」という枠組みがとても重視されていて、学級担任が大きな影響力を持っています。
これはオンライン授業とは関係ないのかもしれませんが、この「学級」という考え方は、今後の学校を考えていく上では、見直しが必要な分野だと考えています。
話は逸れましたが、そのためにも、担任に全てを任せるという形から、様々な教員が児童と関わる仕組みをもち、それぞれ自分の得意分野で教育を行っていく方向性が求められるのではないかと思います。
※このあたりの話はまた、別の機会に話をしていきます。
③定期的なオンライン授業の実施
どちらにしても、突然
さあ、明日からオンライン授業だ!!
では、対応できません。
定期的にオンライン授業を行う体制を学校で作っていかないとできないわけです。
例えば、通学期間を一週間減らして、その期間はオンライン授業をするとか、土曜日授業はオンラインとか、毎月5日は「オンライン授業の日」にするとか、ある程度やることを前提にしていかないと技術も意識も育ちません。
もし、国が本気でオンライン授業の普及を進めていきたいのであれば、現場まかせでは絶対うまくいきません!!
ここは、文科省の腕の見せ所なのではないでしょうか?
ちょっと今日は長くなってしまったのでここらで終わりします。
また、このテーマは話をしていきたいと思います。
あなたの人生の幸せを応援しています!
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