【番外編】休校明けの学級経営②

学級経営講座

こんにちは。春名佑紀です。

前回は、かなりヒートアップして問題となりそうなところをピックアップしてみました。

しかし、そういう背景を踏まえて、児童とどう向き合っていくかを今は一番考えるべきだし、今私たちができることだと思います。

今回は、休校明けに学校が再開したときに、どのような学級経営が求められるかを考えていきます。

 

 

懸念される休校明けの子どもの様子

休校明けに際して考える子どもの様子には以下のようなものがあります。

①学校へ行きたがるor行きたがらない

②学校の生活にすぐ馴染むor馴染めない(生活習慣等)

③学習に対して意欲的or意欲低下(集中力が続かない等も含む)

④タイトなスケジュールに順応できるorできない

⑤虐待等の疑い

 

①学校へ行きたがるor行きたがらない

マスコミ等の報道だと、「早く学校へ行きたい」という子どもの声が取り上げられているが、ある一定数は学校へ行きたくなくなっている子どもがいると思われます。

長い休みとなったことで、いざ学校へ行くことに不安を感じる児童もいると思う。

さらに、低学年などで考えられるのが、休校になったことで親が家にいる時間が増えた場合、赤ちゃん返りのような状態となり、

「自分が学校に行かなければ、親と一緒にいられるかもしれない」

という心理が働くと、行きたがらなくなることが考えられます。

理由は様々だが、不登校児童が増える可能性があるのです。

 

②学校の生活にすぐ馴染むor馴染めない(生活習慣等)

いざ、学校に来てみたはいいものの、今まで家で時間に縛られない生活を2か月以上も送ってきたため、すぐにあの分刻みスケジュールに馴染めない児童が出てくる可能性があります。

この場合、例えば、ぐずったり、イライラしたり、またダイレクトに体調を崩したりする児童もでてくるだろう。

 

③学習に対して意欲的or意欲低下(集中力が続かない等も含む)

前回、学習に対しての遅れについて、大きな心配の必要がないという話をしたが、休校などに関係なく、学力には個人差がある。

ましてや、2か月授業から遠ざかっている児童もいると思うので、45分の授業を5~6時間実施することがそもそもストレスになるだろう。

集中力の低下なども想定されるので、学習に対しての意欲が低下することが考えられる。

端的に言うと、

「コロナウイルスで休校になったから、勉強がわからなくなってやる気が起きない」

という理由に、学習から遠ざかってしまう可能性がある。

 

④タイトなスケジュールに順応できるorできない

これは前回も話をしたが、すでに、夏休みの短縮や土曜日の実施を盛り込んでいる自治体もある。

そうすると、一週間に6日という週がゴロゴロ出てくることになる。
しかも夏休みは半減以下だ。

それでなくても、1日の生活リズムを取り戻すのに精一杯なのに、さらに子どもたちの心身に追い打ちをかけることが起こるのだ。

これに関していうと、教員にとっても体力勝負となる。

 

⑤虐待等の疑い

この長引く休校においてこれが一番の心配材料だが、虐待の実態が見えなくなっている恐れがある。

また、休校明け後のバタバタで発見が遅れることもあるので、特に注意が必要になる。

 

まだ、あるかもしれませんが、ちょっと考えただけでもこれだけのことが考えられます。

つまり、大きく分けると3つ

1つは、これをきっかけに不登校になってしまう子どものケア

2つめは、環境変化に伴う、子どもたちの心身のケア

3つめは、長期化した休校による虐待の早期発見

である。

 

不登校の児童のケア

休校が明けてから学校へ登校してない児童については、保護者との連絡を密に取ることが必要です。

例えば、「コロナの感染が心配」という場合、登校を促すことは難しくなります。

でも、この理由が本当なのか、ただの口実なのかは見極める必要があります。

休校中の家庭訪問が話題になりましたが、学校再開後については、この家庭訪問(心配なら屋外での実施もできると思います)や児童が下校したあとの学校へ来てもらうなど、できるだけ早い段階で児童と担任が会っておく必要があると思います。

児童と直接話をすることで、学校へ登校することへの不安であれば、解消させる手立てがあると思います。

基礎疾患や喘息などの持病がある児童については、なかなか登校を促すことは難しいですが、いずれこの感染についても終息していくと思うので、担任との接点はしっかりもっておくことが大切です。

 

子どもの心身ケア

これが最もやっかいで長期戦となるでしょう。

授業を進めていかなければならない。
遅れた分を取り戻さなければならない。
決められた行事をこなしていかなければならない。

しかし、これらは子どもたちの健康があってのことです。

これは私ならということになりますが、最初の2週間はかなりスローペースで行っていくと思います。

今回3年生を担任するので、初めてのクラス替えで緊張もしているだろうし、ここから学級を作っていくということを考えると、多少、後半にしわ寄せがきても最初はゆっくり進めていこうかなと考えています。

そもそも私は学級活動を軸にした学級経営を行っているので、最初は感染に気を付けながらになりますが、グループワークや話し合い活動を進めていきたいと思います。

グループワークはかなりグレーなんですよね。

でも、新学習指導要領のアクティブラーニングの考え方からすれば、グループワークがないなんて授業になるのか?と疑問をもってしまいます。

もう一つ、力を入れていきたいのは「健康観察」です。

そもそも学校の方針として、毎日検温し、健康状態をプリントに書き込んで担任に見せるという取り組みを休校明けからやるそうですが、学級独自の健康観察を進めていきます。

その一つをご紹介しましょう。

例えば、健康観察で名前を言われて、「ハイ元気です。」とか「咳が出ます」なんていうのは通常の形ですが、

元気=カレーライス
ちょっと体調が悪い=肉じゃが
かなりつらい=じゃがいも

などと分けておいて、「元気です。」の代わりに言ってもらいます。

「ハイ、カレーライスです。」

といった具合です。

その時に、肉じゃがやじゃがいもという子どもをチェックします。
そして、一通り終わった後で、それぞれの症状を聞きます。

じゃがいもといった子どもは即効熱を測らせます。

なぜ、こんなことをするのか?

健康観察を楽しく行うことができるからです。

今や健康観察はふざけてやるものではないとお叱りを受けそうですが、それでなくても気が滅入るような雰囲気の中、その様子を敏感に感じているのは子どもたちです。

大人のピリピリは子どもたちにダイレクトに伝わります。

上のやり方は1つの例ですが、たとえふざけたとしても、答えに応じてちゃんとした対応をすることがわかると、子どもたちは自分の体調に合わせたことを言い始めます。

何より、「カレーライスです!!」とニコニコしながら答える姿に場も和みます。

 

この方法は、ちょっと沈みがちな時などに取り入れていました。

少し時間をかけてでもじっくり子どもたちと向き合う時間を作ることがより一層求められるでしょう。

学校が再開されても様々な教育活動が制限されていきます。

そんな中でも忘れてはいけないのが、今まで行き詰った生活をしていた子どもたちに、羽を伸ばせる環境を提供するのも学校の役割だと思います。

学校としての生活リズムを取り戻すことと並行して、1日1回以上、思いっきり笑えるような時間を作ってあげることを心がけて行きたいと思っています。

 

虐待の早期発見

これは、普段の時も必要なのですが、上で行っている健康観察等と並行して、様子の違いをいち早くキャッチする工夫が求められています。

しかし、今回厄介なのが、新学期からなので、それまでの様子がわからないことです。

これを解決するには、とにかく子どもたちと関わることが大事です。

なるべく子どもからの話を聞く機会を作ること、様子をつぶさに観察すること、話しやすい雰囲気をつくること、こどもと関わる方法はたくさんあります。

大事なことは、「何か潜んでいるかもしれない」という前提で接していくことだと思います。

そしてできるだけ早く保護者との接点をもつことです。

疑ってかかるわけではありませんが、そう思って子どもたちや保護者と接すれば、細かい違和感を見つけやすくなると思います。

これについては、実際に学校が再開したら、いくつか事例を挙げて取り上げてみたいと思います。

 

今後の休校の措置がどうなるか不透明ですが、我々はいつ子どもたちが登校してきてもいいように準備をしていくことだと思います。

でも、やっぱり早く子どもたちに会いたいですね。

 

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