一教師が考える「9月新学期」の可能性

教育全般

こんにちは。春名佑紀です。

毎日「自粛」という言葉と、「今日の感染者」の人数に翻弄されてる日々を送っていますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?

今日は、ここのところ巷でささやかれている「9月新学期」について、一教師の私が私見を述べたいと思います。

 

まず、結論からいうと、「9月新学期」が可能かどうか?という話でいうと、

 

 

 

 

 

 

 

不可能です。

今年度の実施に関してはまず不可能です。

それにはいくつかハードルがあります。
ちなみに、今回法律に基づく話は割愛します。

 

まず、1つ目には、教科の内容の問題です。

ほとんどの教科は、内容をずらして行っても問題はありません。

しかし、教科の中には、春から始まることを想定している単元があります。

最もポピュラーなのが小学校1年生の「あさがお」

日本の小学生の多くは、入学してしばらくすると「あさがお」を植えます。

ちなみに、このあさがお。現在では「生活科」という教科で行います。

私は「理科」でした。これで年齢がばれるーーーー。

そして、今ではこのあさがおの教材を冬近くまで使っています。
何しているかというと、あさがおの種を植えてから、成長し、花を咲かせて、最後種を取るという一連の流れを行うのは一般的ですが、この枯れたあさがおのつるを使って、クリスマスのリースつくりなんてしちゃうんですよ。

さらに、集めた種を、6年生の送る会で、6年生のあげちゃうこともやりました。

まあ、仮に最後の内容は省いたとして、秋以降に植えて、春に花を咲かせて種を取り、一連のサイクルと同じように学べる教材を探さなくてはなりません。

私は植物にあまり詳しくないので、パッと思いつかないのですが、仮に今年の9月からそれを行ったとすると、教員自身がぶっつけ本番で教材を取り入れるということになるので、ねらった学習を行うことができるかかなり不安が残ります。

恐らくあさがおが採用されているのは、育てやすく、よほどのことがない限り、花が咲かなかったり、種ができなかったりということがないのも理由の1つだと思います。

1本のつるからたくさんの花が咲くので、子どもたちが親しみと興味をもって栽培に取り組めるのも大きな理由でしょう。

というように、何かを育てる活動は、どうしても季節に左右されます。

年間を通して行おう単元や季節に関わる単元はなかなかすぐに変えることは難しいでしょう。

 

2つ目に、学齢の問題です。

日本では、4月2日に生まれた子どもから翌年と4月1日に生まれた子どもを同一学齢児童をみなしています。そして、進級、進学するときには、同じ年齢でスタートするわけです。

しかし、9月から開始するとなると、半年のずれを生じてスタートするということになります。

もちろん、本格的に9月が始業式に変われば、この学齢の範囲も変えることが必要です。

今年急にこの範囲を変えることは不可能です。

そして、この範囲の帳尻をどこかで合わせるためには、半年早く小学生にするか、半年遅らせて小学生にするかという「幼小連携問題」が生じてきます。

これをこの数か月で解決することは到底できません。

さらに、これをクリアにするには、小学1年生のカリキュラムの精査が不可欠です。

 

3つ目は、入学試験の問題です。

現状、4月から新学期がスタートするので、年明け1月から3月にかけて、あらゆる学校が試験を行います。

当然ですが、この試験、いわゆる「受験」の実施も半年程度遅らせるということになります。

単純に半年遅らせるとなると、6月から8月にかけて行うということになると思いますが、これの実現には、全ての学校がこの時期に受験を行うように変わらなければならないのです。

文部科学省管轄の幼・小・中・高・大学はもちろん、公立も私立も、高専もそして、民間機関の専門学校等も足並みをそろえる必要が出てきます。

さらにその先の、就職の採用試験や公務員等の試験等の9月入社に向けて体制を変えていくことが必要です。

 

いかがでしょうか?ややできない理由を見つけて並べ立てた感は否めませんが・・・。

おそらく他にも難しい理由はあるかと思いますが、とりあえずすぐに思いついたものを挙げました。

今回のコロナ騒動をきっかけに、9月新学期を考える議論をする分には問題はないかと思いますが、今年からの導入はほぼ無理だと思います。

それこそ、文科省だけの問題ではなく、日本の1年間をひっくり返すほどの大きな変化になります。

今回は、タイトなスケジュールの中、どのようにやりくりして子どもたちにあまり負担をかけないように、カリキュラムをこなしていくかを考える方が重要ではないかと思います。

その際に、子どもたちにとって本当に必要な活動は何かを考えるきっかけにはなると思います。

今まで、例年踏襲とバカの一つ覚えみたいに行ってきた慣習を、一度見つめなおし、削っていいもの、絶対にやらねばならないもの、と考えることに頭を使う方が賢明ではないかと思います。

 

ちなみに、9月新学期だと、

卒業式が7月、入学式が9月とか考えると、あんな暑い中、体育館で練習とか本番とかやるのかと考えるとちょっと嫌だなあと思ってしまうのは、私だけでしょうか?

そもそも卒業式や入学式ってあんな形でやる必要ってあるの?という議論に発展しそうですけどね。

 

とにかく今は1日も早く学校が再開されて、学校に子どもたちの声が戻ってくることを祈るばかりです。

 

 

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