子どもたちの「生きる力」⑩ 我慢を覚える

教育全般

こんにちは。春名佑紀です。

これからの時代を生きる子どもたちに必要な力についてまとめてきました。
私自身、もともともっている持論やそれを展開するにあたって見つけたものなど様々な視点から「生きる力」について考えてきました。

今日でいったんこのシリーズを最後にしたいと思います。
最後に取り上げるテーマとしてはちょっとふさわしくないかなと思ったのですが、
今子どもの格差が取り沙汰われる中で、今一番大人が肝に銘じておかなければいけないことかもしれないと思ったので、最後にこのテーマになりました。

我慢を覚える

最近では、我慢をするのは良くないという風潮があります。
それは、私も同感で我慢をすることで、自分の可能性をつぶしていしまうことがあります。

しかし、子どもの頃にする「我慢」は、ある程度必要なものなのです。

こんな実験がありました。
「マシュマロ実験」というのを聞いたことがありますか?

簡単に言うと、4歳児に
「今、マシュマロを1個食べられる。」

「15分待ったらマシュマロを2個食べられる。」
という選択を与えて、15分待てずに食べてしまった子と15分待った子を追跡調査したら、
待てたこの方が学歴が良かったという話です。
(かなり抜粋です。興味がある方はこちらを。Wikipedia参照)

最近になって、再現実験が行われ、結果は限定的だという意見もありました。

実際に、我慢ができる子が成績が良くなるかどうかは、もともともっているものや環境要因もあると思うので、一概には言えませんが、

我慢をするということが、自己制御に繋がるというのは一理あると思います。

人間の理性を司る部分が、ちょうどおでこのあたり「前頭葉」といいます。

この前頭葉は、人が行動を開始したり抑制したりする機能をもっています。
情報の整理、計画して処理・判断する、さらに自己を客観的にとらえらり、感情をもったり、言葉を発したりと、いわゆる人間らしい機能を司っています。

ある心理学の実験では、おでこを出している人の方が、前髪で隠している人よりも知的に見えるという結果もあるそうです。

この「前頭葉」ですが、生まれたときから発達しているものではないのだそうです。
脳も、年齢によって発達に順番があります。
この前頭葉が育ってくるのが3歳から6歳ごろ。

先程前頭葉の説明の中で「抑制」という言葉が出てきましたが、
前頭葉が未発達な小さな子どもは、当然「我慢」なんてできません。

しかし、3歳以降、だんだん前頭葉が発達してくると、自分の行動のコントロールや様々な現象の理解、現実と空想の違いなどを認識できるようになるそうです。

この時期に、大切なのは、「安全の判断」と「善悪の判断」

先程、「我慢」といいましたが、何もかも抑制することではありません。
また、さっきのマシュマロも別に食べてもいいと思います。

でも、いざという時に自分の行動をコントロールすることができないと、
困ったことがいろいろ起こります。

1つ目は、「自分の命を守れない」こと
現代だと、車は危ないとか、
刃物の取り扱いには気を付けるとか、
自分や他人を傷つける可能性のあるものを認識する必要があります。

2つ目は、「善悪の判断」
これは、価値観に関わることなので、絶対に正しいと言えませんが、
少なくとも他人を傷つけてはいけないということを刻み込まないといけません。

また、善悪の判断を拡大解釈すると、ルールを守ることの大切さにもつながります。

人間は社会性の生き物なので、集団で生きていくためには最低限その中で決められたルールを守ることが求められます。

もちろんそのルールの中には、何の根拠もないものもあります。

例えば、校則などで決められているもの。
下着の色まで指定する校則があることに結構驚きましたが、
きっといろいろなことから決まったのだと思います。
他にも、髪をまとめるゴムは、黒・紺・茶。
男子は坊主。女子は肩より長い時はまとめる。
小学校では、キャラクターものの文具は禁止。
などなど。結構ありますよね。

こういう校則の是非はともかくとして、
ある集団に属した場合、その集団を維持するために決められたルールはある程度守ることが求められるわけです。

もし、そのルールがおかしいと思うのであれば、教師なり学校なりに直談判すればいいわけです。
実際に、男子が坊主という学校が、生徒総会の決議として撤廃を求め、校則を変えたというところもあります。

ちょっと話は逸れましたが、ルールは基本守った方がいいわけです。

ルールの中には、1つ目の「命に関わること」も含まれます。
それが交通ルール。

交通ルールは、みんなが守ることを前提に作られています。
守らない人がいたら、大きな事故につながるのです。

こういう判断も、全て前頭葉が担っています。

我慢というと、あまりいい意味で使われないことが多いのですが、
子どもには、「自分の行動を自分でコントロールできるようにする」ことを
覚えてもらう必要があるわけです。

もし、前頭葉が発達しなかったら、
泣きたい時に泣いて、食べたときに食べて、寝たい時に寝て、人の物を取っても、キズつけてもよくてって収拾がつかなくなります。

もちろん、これは極端ですが、ある程度は自分の行動をコントロールできる必要があります。

これって大人になると気付くんです。

例えば、ダイエット。

私はダイエットに関してはちょっとした経験をもっていて、
10キロやせた経験も、
その後リバウンドした経験も、
その時期にはやったダイエットは一通りやってみた経験もあります。

そして結果、現在は人生最高体重を更新中ですが、
どんなダイエットが自分に向いているかを結構研究しました。

ちなみに、私は食べることに関しては抑制が効かないところがあるので、
食べるを優先しているときはまず痩せません。

10キロやせたときは、「食べない自分って格好いい」と思えた時期で、
運動をうまく組み合わさって痩せることができました。

でも、今は食べることをやめられないので、なかなか難しいです。

もう一つ、痩せることで得られるメリットと痩せるために行う苦行を天秤にかけると、
得られるメリットにあまり魅力を感じていないというのがあります。

ちょっとどうでもいい話になりましたね。
(そんなに、怒らないで・・・)

こうやって自分をコントロールして、何かを得るということは、
多かれ少なかれ人生においては起こります。

常にコントロールし続ける人生は、とても窮屈だしつまらないと思います。
でも、人生の中には1度や2度、数年先の未来のために今踏ん張らなくてはいけないときという時があると思います。

その「踏ん張るのは今!!」という判断も前頭葉がするわけです。
そうなったときに、前頭葉を小さい頃に少しずつ発達させておくことは、子どもの未来のためにできることではないかと勝手に思っています。

一方で、我慢が過ぎる子がいます。
辛くても泣かなかったり、
困ったことがあっても周りに言えなかったり、
いい子を演じることで、自己防衛をしていしまうような子どもの場合は、
我慢しなくてもいいということを教えてあげなければいけません。

相反することを言っているように感じますが、
今日、一番言いたいのは、

子どもの我慢は、周りの大人のエゴでさせるものではありません。

私が子どもに我慢をさせるときは、
上に挙げた2つを最低限させてあげればいいと思います。
「安全」と「善悪」
「安全」という中に「健康」を加えていいかもしれません。
規則正しい生活習慣、食事や睡眠、運動。
これをある程度時間を決めて行うことが、自然と自己のコントロールに繋がります。

いざという時に我慢ができない子は、ちょっと将来不安になります。

適切な我慢を覚える。

自由にのびのび育てたいという中に、最低限加えて欲しい項目です。

 

いかがだったでしょうか。
今回の我慢は、非常に取り扱いにくいテーマでした。
でも、やっぱり必要だと思いました。

是非ご家庭で…と思いますが、もっていき方によっては学校でも十分育つと思います。
学問もそうですが、人とのかかわり方を学べる「学校」の在り方を今後もっと精査していく必要があると感じました。

子どもに必要な力シリーズはいったん終了します。

何かご意見ありましたら頂けると嬉しいです。

では、あなたの人生を応援しています。

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