教員を育てる場所 現場が抱える問題②

教育全般

こんにちは。春名佑紀です。

いよいよ2020年が始まりましたね。
2020年は教育業界にとっても大きな年となりますよね。

 

さて、前回は教員が足りないという現状から、学校現場の問題点について考えて見ました。
そこで、少しだけ触れたのですが、教員が足りないという状況は今後長く続く可能性があります。というのは、そもそも教員養成系の大学への志願者数が減っているという記事が、昨年に出ていました。さらに、先生になっても1年続けないで辞めてしまう方も多くいます。

そこで、今回は「教員の質とは」という禁断のテーマを元に、学校現場が抱える問題をお伝えします。

 

ちなみに、今回は「教員の質の内容」について語ることはしません。
この問題は結構やぶへびで、話し出すとキリがありません。

今回は、教員の質というものがあることを前提として、どうやってこの質を担保していくのかということを話します。

先程、教員養成の志願者数が減少しているという話をしましたが、そもそも大学では何を学んでいるのでしょうか?

私は資格認定試験で免許を取得しているので、実は大学で学んでいることはわかりません。

ちなみに、通信教育で取得を目指していたこともあり、一通りテキストは読んだことがあります。
同じようなことを通学として行っていると仮定して話をすすめます。(それほど大きく違ってはいないと思います。)

教員免許取得に必要な授業は様々です。
しかし、必ずあるものとしては以下のものがあります。

・教育原理
・教育心理学
・教育法規(関連法律含む)
・教育史
・各科目の教授法
・学級経営論(みたいなもの)
・教育実習
・・・etc

まあ、もっとあると思いますが。

上の4つは、おそらく学校によって細かく分かれていたり、必修とさらに専門などによって内容の深さが変わってくると思います。

科目の教授法については、小学校だと10教科(今は11教科か)あるので、それぞれの科目の特徴や学習指導要領などをもとに、教科の本質論を学ぶことになるでしょう。

さらに、3年生以降はそれぞれ専門を選択して、学んでいくこともあると思います。

しかし、大学で学ぶ多くは、「学問」としての教育です。

 

これはこれでとても大事なことです。

ここで学んだことは、教員として、さらには教育者としての自覚を養うために大切な内容です。

しかし、これを学んでも、子ども達のまで授業を行ったり、学級経営ができるようになったりするわけではありません。
もちろん、ここからは、現場で、実際に子ども達の前に立って初めて磨かなくてはならないものです。

でも、教育実習をしているではないか!!

と思う人もいるでしょう。

 

私自身は、教育実習をしたことがありません。
(認定試験は、2日の授業観察で教育実習とみなされます。)
一方、教育実習を受け入れる現場の様子は結構見てきました。

それを踏まえて話すならば、教育実習は実践の場とは程遠いです。

 

内情を話すと、教育実習生の受け入れは、4月の段階で決まっています。
当然ですが、ベテランの先生が受け持つことになります。
5月ごろからくることを想定し、4月の学級経営はぎっちり行われます。
教育実習生が来る頃には、がっちりと作られた学級なのです。

そんな理想的な学級の状態で授業を何回か行いますが、そこである程度手ごたえをもって授業ができたとしても、それは本当意味での「授業ができた」とは言えないのです。

恐らくこの瞬間は、授業の進め方や発問、教材、など実習生は「自分の授業の所作」を振り返ることができるでしょう。

しかし、授業とは本来学級経営とセットなのです。

自分が作ってきた学級の状態を踏まえて授業を展開します。
同じ学年の同じ単元でも、子どもが違うので決して同じ授業にはなりません。

教育実習生は、いわば理想的な学級を借りて授業だけをするという状態です。

 

つまり、「教育実習」では、あくまでも「現場体験」でしかないのです。
すごく嫌な言い方をすれば、キッザニアの職業体験と変わりません。

もちろん、教育実習は意味がないとは言いません。
内容を否定しているわけでもありません。
「教育実習」として行うには、これが限界でしょう。

 

何が言いたいかというと、

大学を卒業したばかりの教員は、免許をもってはいるけれどまだ仮免状態で現場に配属になるということです。

似たような職業に「医者」がありますが、大学卒業後の先生に手術をしてほしいとは誰も思わないと思います。実際に医者には研修医制度があり、現場にいても現役の先生たちと同じことをしているわけではありません。

教員は、新卒だろうが、既卒だろうが、社会人採用だろうが、再任用だろうが、配属されればみんな一斉に同じスタートラインに立たされるわけです。

ここでは問題が2つあります。

1つは、今のような学校の現状で、新採教員をすぐに学級担任にすることが果たしていいかどうかということ。(小学校の場合)

2つめは、大学で教員を養成する内容が今のままでいいのかということ。

もちろん、現場に配属されてから、実際に学級をもって子どもたちと日々一緒にやりながら学ぶことや成長することは多々あります。
これは新採に限らず、常に自己研鑽をしていかなければならない仕事です。
完成された状態など一生来ないかもしれません。

だから新採は、試行錯誤しながらやっていけばいいという考えも間違いではありません。
でも、今現場ではそんな新採を支える余力がありません。

現場に配属になってからも、最近は研修などが増え、さらに免許更新のために30時間の講座を受けることが義務化されています。
このような研修制度ができていますが、そもそもの「教員の質」向上につながっているのかは、かなり疑問です。

教員を取り巻く問題は、かなり深刻だと思います。

何かしらの対策を取らないと、ますます、教員志望者は減ります。(特に優秀な人)
そして、どんどん教員は減り、そのしわ寄せは子ども達へと向かいます。

こうなると、結局教員養成の大学では何を学ばせて「教員としての質を高めるのか」を明確にするところから始める必要があると思います。

 

今日はこの辺で。

次回も、現場から考える問題点について論じます。

 

 

 

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